カナダ生活の振り返り

カナダ🇨🇦 バンクーバーに移住したのだが、約半年ほどの滞在で日本に本帰国した。カナダでの生活で気づいたことや思ったことを書き留めておこうと思う。

不動産の価格、家賃が高い

おそらくバンクーバーに住んでいる人なら誰もが共感すると思うが、不動産の価格がとにかく高い。私が住んでいた地域では、一戸建ての価格は2億〜3億円以上するという。カナダの平均的な収入はそれなりに高いが、それでもこの金額の家を購入するのは非常にハードルが高い。みんなはどうやって家を買っているのか、不思議に思ってしまう。

ちなみに、賃貸はバンクーバーでは1 Bedroomが約2,500 CADと言われている。1ベッドルームでこの金額ということは、ファミリーで住む場合2ベッド、3ベッドルームはもちろんもっと高い。2ベッドルームは約3,500〜4,000 CADというところではないだろうか。もちろんだが、場所によるし、物件によるのだが、高いというのを実感してもらえる数字だと思う。(シリコンバレーやNYよりも安いが、バンクーバーの給与水準を考慮するともう十分に異常に高いのだ。)

将来的には賃貸ではなく家を購入したいと考えていたが、この不動産価格の高さはかなりのハードルだと感じる。もし価格が今後も将来にわたって上がり続けるのであれば、損をしない投資とも考えられるが、高額な不動産を買うことはリスクも伴う。巨額のローンと毎月の多額の支払いが発生するので、毎月の生活費を捻出するのは決して楽ではないだろう。

日本と比べると、さらに利率が高いのだ。(世界的に見ると日本の低金利がおかしいのだが) 今、カナダの政策金利は4.75%に達している(2023年6月)。 カナダは変動金利の人が多いと言うので、住宅ローンの支払い金額にもダイレクトに響いているはずだ。

ここ数年の不動産価格の上昇を見ていると、この値上がりがいつまで続くのか不安に感じる。金額が大きいだけに、自分が家を買う場合にはかなりの勇気が必要なことは違いない。

余談:香港や中国の投資マネーが流入しており、不動産価格が高騰しているのが実態だ。また、移民政策で人口が増え続けているのに対して、住宅の供給が追いついておらず、バブルという側面以上に構造的に値上がりがずっと続いてしまっている。この不動産価格の高さはとても問題視されており、カナダ国内でもよく議論されている。

アジア人が多い

バンクーバーはアジア人が多いことでよく知られているが、実際に住んでみると本当に多いことを実感する。地域によって大きく異なるが、私が住んでいた地域ではアジア人が3割から5割ほどいたため、自分としては馴染みやすい環境だった。アメリカの中西部などのように、アジア人比率が低いと浮いてしまう恐れがあるが、バンクーバーではローカルと同様に自然と馴染むことができる。

こちらで知り合った人の中でも結構多いのは、中学生や高校生の頃に中国や香港からカナダに来て、カナダで大学を卒業し、仕事をしている人たちだ。移民の2世や3世の人々も多く、彼らはカナダで生まれ育ち、英語ネイティブとしての考え方やカナダ人としてのアイデンティティを持っている。

個人的には、アジア人が多いことでとても溶け込みやすく、ヘイトクライムも非常に少ないので、あまり危険を感じることもない。これはとても良い点だと思う。

税金が高い

カナダの税金が高くて驚いてしまった。インターネットでシミュレーションすれば、所得税と手取り額はわかる。理解していたつもりだったが、実際に給与明細を見るとがっかりしてしまった。

日本と同じく累進課税が採用されており、日本よりも少し税が重いぐらいだという理解は間違ってなかったのだが、数字以上に重く感じた。何が違うかというと、Marginal tax rateが高くて驚いたのだ。Marginal tax rate というのは、日本語では限界税率というようだが、つまり給料の増分に対して課税される所得税率のことだ。もし給料が1万円増えたら何%の税金がかかるか。正確に調べてないが、これが半分以上かかるのだ。

例えば、カナダへの引っ越しの費用をある程度会社に補助してもらえたのだが、それも課税対象だ。通常の給料に上乗せして支払われたのだが、それが手取りには半分も残らなかった。将来、昇進して給料が上がっても、手取りに反映されるのはこの程度なのか…と思うと、何だかやる気が削がれてしまう。

アメリカの給与が羨ましくなる

カナダの給与水準は、日本と比べても十分に高い。しかし、隣にアメリカがあり、バンクーバーから車で1時間ちょっと走ればアメリカに到着するのだ。そうすると待てよ…。1時間運転して国境を超えると、給与が1.5倍になると聞くとどう思う?それに加えて、ワシントン州では税金が安く(州税がない)、その結果手取りを比較すると2倍近い差になるという話も聞く。手取りで倍、これはめちゃくちゃ大きな差だ。

カナダとアメリカの給与の差はよく知ってはいたが、実際にそこに住んで、高い税金を払い、その差を目の当たりにするとなんだか納得できない気持ちが湧いてきてしまった。それなら最初からアメリカで働けば良かったんじゃないか、と言われると自分もそう思ってしまう。だからこそ、カナダで実績を積んだ後にアメリカに転職・移住するというのが一つのキャリアパスになっているのではと思ってしまう。

治安が良い。人々が優しい。子供に優しい。

人々がとても優しい。ただ歩いているだけで、ドアを開けてくれたり、笑顔で話しかけてくれたりして、自然と自分も笑顔になってしまう。そしてみんな言葉遣いも丁寧なのだ。自分の拙い英語でもちゃんと聞いてくれるし、嫌な態度を取られることはほとんどなかった。カナダの教育水準の高さに起因しているのかもしれない。文化レベルが高いと言うのだろうか。気持ちよく毎日を過ごせるというのは、バンクーバーの素晴らしい点だ。

また、日本へ帰国して驚いたのが、1歳の息子がぐずったりして大きな声をあげてしまうと、周囲で迷惑そうにする人が多いことだ。 (帰ってきた翌日、ある女性にうるさいので黙らせてもらえますか」と言われたときは閉口してしまった。いや、実際は強く言い返したのだが。) 大きな声を上げるのは確かに迷惑なことではあるが、カナダで嫌な顔された事は本当にただの1度もない。それよりも皆、小さな子供を見て心からニコッとして優しく話しかけてくれるのだ。この差はなんだろうと考えざるを得ない。 日本は暗黙的なルールがよく守られているのだが、それがかえって窮屈に感じると言うのは事実あるように思う。

まとめ

約半年のカナダ生活で感じたこと、さまざまな気づきについてまとめてみた。カナダで生活してすぐ実感したのは、日本の便利さだった。たとえば、Amazonの配達の場合、日本は配達時間帯が多く選べたり再配達もスムーズにできたりする。しかし、こちらでは配達の時間指定などもちろん出来ないし、受け取りを逃してしまった場合、近くの郵便局などに出向いて受け取る必要がある。車がないときは荷物を持って帰るのも大変だ。

その一方、カナダ・バンクーバーは自然が豊かだし、近所の公園の魅力には本当に驚かされた。広々とした芝生があり、遊具もきれいで安全性に配慮されていた。犬の散歩もしやすく、日本とは違う心地の良い生活があった。

妻はバンクーバーにまた住みたいと言っていてとても気に入ったようだ。特に仲良くなった友人がいることが大きく、別れを惜しんでいた。私自身はリモートワークが多かったし、もともと家から出ることも少なく、仕事以外で人とのつながりを作ることはなかなかできなかった。その点で、少しもったいなかったなと感じるところもある。今回大阪に帰ってきたので、改めて人との出会いを大切にしたいと思うようになった。

以上、長くなってしまったが、一言で言えばカナダのバンクーバーは本当に素晴らしかった。お金に関わること(不動産価格、税金、隣のアメリカ等)は少々ネガティブな点があったものの、それ以外は素晴らしかった。短い期間ではあったものの、自分たちの将来を考える上で良い経験となった。まずは大阪で生活をしていくのだが、今後の人生、またどこかに移住するかも知れない。今回のカナダ生活を一つの経験として、また将来について考えてみたいとおもう。